さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

鎮痛薬(NSAIDs)と胃薬 ~胃薬が処方されるのはなぜ?~

こんばんは

さちこです(^^)/

 

ここのところ

少し体調を崩していたり

仕事やプライベートが

忙しかったりで

ブログをお休みしていました

(-_-;)

 

そんな久しぶりブログですが

今日は

看護師っぽい話題を

ブログに挙げてみました。

 

よく

痛み止め(NSAIDs)と胃薬が

セットで処方されることが

ありますが

いつもとは違うセットでの

処方を見る機会がありました。

そこで

そもそも痛み止めに

胃薬がセットで処方される

理由は何だっけ…?

と考えたところ

NSAIDsは胃にダメージを

与えやすいからという

ふんわりとした回答しか

頭に浮かばなかったので

これを良い機会に

学びなおそうと思います。

 

 

まず鎮痛薬について

大きく分けて

NSAID

アニリン系(アセトアミノフェン

ピリン系(スルピリン)

の3つがあります。

 

ここではNSAIDのことを

お話ししていきます。

 

NSAIDsとは

ロキソプロフェン

アスピリン

イブプロフェン

インドメタシン

エトドラク

セレコキシブ

のことですが

 

胃薬が処方される

理由を知るため

その作用機序を見ていきます。

 

痛い!と思ったとき

身体の炎症部位では

ブラジキニン

プロスタグランジ

作られます。

 

ブラジキニンって何かというと

痛みを発する物質

この物質が出てきて

侵害受容器という

感じるところに

くっついちゃうと

痛みを感じます。

 

そしてプロスタグランジンは

痛みを強める物質

侵害受容器を刺激して

もっと感度を良くなるように

しちゃうのね

そうすることでブラジキニン

(痛みを発する物質)の感度を

あげちゃうから

痛みがより強くなるというわけ。

 

プロスタグランジンは

何から作られるかというと

アラキドン酸と

シクロオキシゲナーゼ(COX)

という

プロスタグランジン産生酵素

から作られるらしい。

 

ということは

そもそもの痛み物質は

消せないけれど

痛みを強くする物質の方を

消せたら

痛みが落ち着くのでは!

ということで

プロスタグランジンが

作れないように

プロスタグランジン産生酵素

シクロオキシゲナーゼ(COX)を

アラキドン酸と

くっつかないように

するのが

NSAIDsなのです。

 

シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害

↓ すると

プロスタグランジンが作られなくなる

↓ そして

痛みがなくなる

 

そしてなんと!

ブラジキニン(痛みを発する物質)

自体を出てこなくする作用も

持ち合わせているらしく

炎症を落ち着かせる効果

あります。

 

なので

鎮痛作用抗炎症作用の2つで

痛くない状態になるのですね。

 

なんで胃薬が出されるの?

っというところですが

 

カギとなる物質は

シクロオキシゲナーゼ(COX)

です。

 

シクロオキシゲナーゼ(COX)には

2種類あります。

COX-1の全身組織に作用するもの

COX-2の炎症部位に作用するもの

 

COX-1の全身の方は

胃酸分泌の抑制や止血、

腎血流の維持をしてくれていて

通常に生きるために必要な役割

しています。

なのでCOX-1を阻害すると

胃腸粘膜・腎・肝臓の障害、

血小板凝集抑制

(血が止まらなくなる)

が起こります。

 

COX-2の炎症部位の方は

痛みを増強する作用を

持っています。

これを阻害すると

抗炎症・鎮痛効果が現れます。

 

鎮痛効果を期待し

NSAIDsを使用すると

COX-1とCOX-2の

どちらにも作用してしまい

COX-2の抗炎症・鎮痛効果と

通常生きるために必要な

COX-1の胃酸分泌抑制や

止血、腎血流維持などの

役割も阻害してしまい

胃腸粘膜・腎・肝臓の障害、

血小板凝集抑制

(血が止まらなくなる)

が起きてしまう。

 

COX-1阻害による

胃腸障害の軽減のため

NSAIDsと胃薬がセットで

処方されるということです。

 

最近は

セレコキシブという

COX-2を選択的に

阻害してくれる

良いお薬も出てきています。

胃腸障害も起こりにくく

先生によっては

胃薬の処方をしなくてもよいと

おっしゃる方もいます。

私も胃腸障害は

ほとんど起きないものだから

胃薬は不要なんだと

思っていました。

でも

勤務先でセレコキシブと

胃薬の処方がされていることがあって

どうしてだろうと思ったら

炎症部位のみに効くよう

選択的なお薬になっている

のですが

完全に選択できるわけでは

ないようで

全く胃腸障害が

起きないわけではない

とのことなのです。

 

胃腸障害が起きにくいならば

NSAIDsを使用するときは

前例でセレコキシブを

使えばいいじゃん!

と思いますが

セレコキシブは

選択的に作用する薬なので

やはり他のNSAIDsと比較すると

鎮痛効果が弱いようです。

なので痛みが強い場合は

身体全体に効果が出る

他のNSAIDsを

使用する方が

よいようです。

 

だんだんと痛みは

落ち着いてきたけれど

まだもう少し弱い

アセトアミノフェンには

できないな

というときに

セレコキシブのような選択的に

効果が出るNSAIDsを

使用するのが良いと思います。

 

そんなわけでまとめです。

 

NSAIDsは胃腸障害を起こしやすい。

胃腸障害が起きる理由は

生理的に必要な機能の部分にも

作用してしまい

胃酸分泌を

抑制できなくなってしまう

そうすることで

胃粘膜に負担がかかってしまい

胃腸障害を起こしやすくなる

そのため

胃腸障害を予防を目的として

胃薬が処方される!

ということでした。

 

本当は今回のブログで

NSAIDsとセットで処方する

胃薬はどんなものが良いのか

記載していこうと

思ったのですが

長くなってしまったので

また次の時に

書いていきたいと思います。

 

ではまた書きます!