こんにちは、さちこです!
今日は昨日に続き術後管理の呼吸について
主な術後呼吸器合併症をお話ししたいと思います。
皆さんは術後の呼吸器合併症と聞くと、何を思い浮かべますか?
ICUはもちろん、術後の患者さんは病棟にも帰室します。
全身麻酔を受けた手術後の患者さんであれば、
全員がこの術後合併症のリスクをもっています。
自分は、「ICUじゃない」、「術後といっても呼吸器系の手術じゃない」と思わずに
ぜひ読んでみてください。
きっと今後、役に立つ情報があると思います。
目次
1 無気肺
無気肺は、呼吸運動の抑制や痰の貯留によって末梢気管支が閉塞され、肺胞内に空気が入ってこれなくなり、肺胞がつぶれた状態になることを言います。
無気肺が放置されたままになると、分泌物(痰)のなかで細菌が増えて肺炎を引き起こします。
これを術後肺炎といいます。
無気肺は術後36時間以内に発症し、術後肺炎はそれに遅れて術後1週間前後で発症することが多いです。
ところで('ω')ノ
【痰ってそもそも何?】
痰って?と考えたことありますか?
私は、後輩指導をしているときに後輩から痰ってなんで出てくるんですか。
と何ともピュアな質問をされたことがあります。
その時は、ものすごく簡単に要らないものを出してるんだよ!と返事しちゃいましたけど・・・
実際そんなこと考えたことあまりなかったので、すごくびっくりした思い出があります。
痰とは、喉頭以下の下気道から過剰な気道液の液状の成分に
細菌、ウイルス、粉塵などの異物や気道の細胞を含んで排出されるものを言います。
術後、よく痰が出るのはどうしてなのか・・・
これにはちゃんと理由があって、
術中の気管挿管や吸入麻薬ガスの刺激によって
どうしても痰が多く出るのです。
そのため、術前与薬として硫酸アトロピンが投与され気道分泌を抑制するようにしていることが多いです。
この痰が停滞していると、肺炎になってしまうので
私たちができる対応としては
痰を出せる環境を整えてあげることです。
術後の患者にとって一番つらいことは、傷口の痛みです。
そもそも、痛みがあると、効果的に咳嗽は行えず
痰の排出はできません。
また、術後は麻酔からの覚醒がいまいちであることが多く、その影響によって呼吸が弱いことが多く見られます。
そのため、酸素投与を行い体内の酸素量を維持します。
しかし、酸素投与はいいのですが投与される酸素は乾燥しており
この乾燥により、痰が硬くなりやすいです。
【具体的な対応】
①適切な除痛
鎮痛薬を高丘的に使用して痛みを取り除き、肺活量を減少させないようにする。
②気道の湿潤化
うがいなどで口腔内を湿らせる。また、必要であればネブライザーを用いて痰を柔らかくして、出しやすくする。
咳をしてもらうときは、痛みを伴っている場所(創部)を押さえて咳をしてもらう。
③深呼吸を促す
創部を手で押さえながら、痛みを最小限にして深呼吸をしてもらう。
これにより、肺活量を上げて末梢の肺胞までふくらませるようにする。
④呼吸理学療法
痰の多い患者や痰を自力で出すことが難しい患者の場合は、痰の除去と酸素化の改善を目的として行う。
⑤不安の軽減
これ意外と大事!
深呼吸や咳嗽は、どうしてもおなかや胸に力を入れることになるので
創部の痛みが増すことが考えられます。
患者さんは、痛くなるのがわかっているから怖くて咳や深呼吸が出来ないという方が多くいます。
こういう場合、こちらから「深呼吸して、痰が出そうになったら咳してくださいね」などと一方的に伝えても患者さんは協力してくれません。
一時的に痛みが増強してしまうことは、仕方がないことですが
ベースの痛みを下げてあげることはできます。
その方法は、創部を押さえながら深呼吸や咳をしてもらうことであったり、鎮痛薬を使用したりとありますが
患者さんの話を聞いて、傾聴して相談のうえでどうしていくか考えることが大切です。
多くの患者さんは、手術をするのが初めてという方です。
そのため、ものすごく不安でいっぱいです。
「傷口が離れちゃうんじゃないかと思って咳が出来なかった」とおっしゃっていた患者さんもいました。
医療者として、そんなの大丈夫だよ~と思うことも患者さんにとっては
分からないことだらけなのでぜひ傾聴してみてください。
2 術後肺炎
術後肺炎は抗菌薬の発達や適切な術後管理によって、だいぶ減ってきています。
しかし、致命的になることもあるので注意が必要な合併症です。
食道や肺などの開胸術後や開腹術後に発生しやすいです。
先ほどもお伝えしたように、無気肺は術後肺炎の原因となります。
また、誤嚥も術後肺炎の原因と言われています。
無気肺による肺炎は、痰が溜まってその痰の中で菌が増殖し、気道内に感染が起こって肺炎になるというものでした。
誤嚥による肺炎は、意識低下や喉頭反射の低下で吐物の気管内流入や唾液の流入、異物の気管内吸引などで起こります。
嘔吐による誤嚥の場合は胃液が気管内に入ってしまい、強い酸によって化学性気管支肺炎となって、時間がたってから細菌性肺炎へ移行します。
【肺炎になってしまうと】
痰は膿性になり、発熱と呼吸不全が生じます。
酸素化不良となり、重篤になると二酸化炭素が吐けなくなります。
誤嚥による肺炎の場合は、特に長期化してARDSへ移行することがあるので注意が必要です。
※ARDSは簡単に言うと、急激に肺炎が悪くなる病態です。
処置としては
酸素吸入と必要時人工呼吸器管理、気道内吸引、抗菌薬投与を行います。
【私たちの対応】
まず肺炎を予防することです。
無気肺による肺炎に対しては、無気肺にならないように先ほど説明した対応を行います。
誤嚥による肺炎に対しては、
嚥下反射機能が麻酔の影響で低下していることが考えられるため、唾液が垂れ流れないようにするため体位調整
飲水時の体位調節
嘔気がある場合は、右側臥位とし誤嚥しにくい体位を整える
などの体位調整が大事です。
肺炎になってしまった場合は、痰を出すことが出来る環境づくりが大切になってきます。
体位ドレナージや呼吸理学療法といった肺ケアが必要になる場合もあります。
今回は体位ドレナージや呼吸理学療法については触れませんが
またどこかの機会でお話しできたらと思います。
3 まとめ
術後呼吸器合併症では、主に無気肺から肺炎になる場合と誤嚥から肺炎になる場合がありました。
無気肺になってしまう患者さんは時々見かけます。
無気肺は私たち看護師が予防できるものです。
痰が出せるような環境を整え、無気肺を予防できればその先にある肺炎も一緒に予防できます。
ぜひ、術後呼吸器合併症を起こさないケア介入を行ってみてください★
この記事がその参考になればうれしいです。
では今日はこの辺で(*'ω'*)
術後管理 主な術後呼吸器合併症について
— saccyan_0816 (@Saccyan0) 2020年8月10日
書きました。知っていて損はない!とおもいます。きっと役立つと思うのでよかったら見てください!
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無気肺と肺炎について書いてみました!よかったら読んでみてください!saccyan-kango.hatenablog.com