さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

輸液の基礎 第二弾 生食とリンゲル液

こんにちは、さちこです!

今日は細胞外液補充液である

生理食塩水とリンゲル液について

お話ししたいと思います。

 

生食やリンゲル液は、よく使用されますが

輸液が投与された後、どのように水分が

移動するか知っていますか??

これを知っていると、

「あ~!だからこの時はこの輸液をいくんだ!

なるほど~!!」と

いつものアセスメントにも磨きがかかること

間違いなしです( `ー´)ノ

 

では始めます。

本日の流れ

1 輸液の種類

輸液の種類は大きく分けて

電解質輸液製剤

・水分輸液製剤

・栄養輸液製剤

・その他

の4つです。

 

電解質輸液製剤は、その名の通り

電解質の補給・補正を目的とします。

水分輸液製剤は、水分の補給

栄養輸液製剤は栄養補給を目的としています。

 

2 細胞外液補充液とは

細胞外液は、体重当たりの水分量の20%でした。

その20%は、間質液15%と血液5%に

分かれていました。

細胞外液補充液なので、これは細胞外液である

間質液と血液にすべて補充される輸液です。

細胞外液補充液が投与されたときは、

細胞内液には輸液負荷されません。

簡単に言うと血管内に投与されるもの

覚えておけばよいです。

 

循環血液量が低下している場合

出血や脱水などでショック状態の時は

早急に血管内に輸液負荷をして血圧を上げたい

ため、この細胞外液補充液を投与します。

ショック状態で救急に運ばれてきた場合、

メインの点滴を投与するときは

ほぼ間違えなくこの細胞外液である

生食やラクテックなどのリンゲル液を

投与します。事前に準備しておくと

スムーズですよ!

 

 

3 生理食塩水について

生食は知っている方が多いと思いますが

人間の体液の浸透圧と同じ生理的な輸液で

細胞障害性が少ないです。

そのため、薬剤投与の溶解液や

術野の洗浄、創傷処置の時にも

使用されることが多いです。

細胞外液にダイレクトに投与できるため

ショック状態の患者にも使用されることが

多くカリウム(K)が入っていないため

病態不明の患者にも使われやすいです。

 

💡POINT

生食にはナトリウム(Na⁺)とクロール(CL⁻)

しか入っていない。

重炭酸(HCO₃⁻)は入っていない!

これがものすごーく重要なことなんですよ。

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この下の図、前回の輸液の基礎でも出しましたが

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ヒトの細胞内・外液では、+と-が同じぐらいに保とうという性質がある

そう、+と-がおんなじぐらいに保とうと

するんですよ。
+と-の一番上の線は平行ですよね。

おんなじぐらいに保とうとしているから。

 

…ということは

生食はNa⁺とCL⁻しか入っていませんでしたよね。

ショックの時に大量に生食を投与すると+イオンは

ちょっと置いておいて

-イオンであるCLがどんどん体の中で増えます。

+と-がおんなじぐらいで保とうとする性質が

あるので、CLが増えた時

上に棒グラフが伸びるのではなく

HCO₃⁻の分がCL⁻に奪われ

体内のHCO₃⁻は少なくなります。

これはちょっと難しいのですが

HCO₃⁻が少なくなると、希釈性アシドーシスになります。

そしてCL⁻が多くなるので高クロール性アシドーシス

にもなります。

アシドーシス・・・そう酸塩基平衡です。

難しいと思うので、アシドーシスになる!

アシドーシスになると生命維持が難しくなる!

と覚えておいてもらえればとりあえずいいです。

とにかく生食を大量に投与し続けると

アシドーシスになって死にかける。

危険!というのを頭の片隅に置いておいてください。

細胞外液行きたいけどアシドーシス

になってきちゃった。というとき

リンゲル液に変更することが多いです。

 

4 リンゲル液について

リンゲル液は生食にK⁺とCa⁺を加えて

調整したものです。

CL⁻が多くHCO₃⁻が入っていないのは

生食と変わらないです。

なので、生食と同じように持続的に

大量投与する場合アシドーシスに

なってしまう。

このリンゲル液ではアシドーシスは改善されない!

でも、リンゲル液を作った当時

HCO₃⁻をリンゲル液に直接投与できる

技術がなかったので

 

誕生したのが乳酸リンゲル液酢酸リンゲル液です。

 

 

各種リンゲル液の特徴

リンゲル液に直接HCO₃⁻を入れると

炭酸カルシウムが発生して

塩の沈殿が生じてしまうため

直接配合できなかったのですが

なんと、乳酸や酢酸を配合すると

体内に投与して、代謝するタイミングで

HCO₃⁻を産生することができることが分かり

リンゲル液に乳酸や酢酸を配合した

輸液が出来たのです。

 

乳酸リンゲル液は肝臓代謝

酢酸リンゲル液は全身の骨格筋や心筋、肝臓

代謝します。

 

乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液に大きな特徴は

あまりないですし、使い分けをしているのか

といわれると、あまり使い分けすることも

ないようですが医師によっては使い分けされる

方もいるようです。

重炭酸リンゲル液は時代とともに

科学が進歩してできたようです。

HCO₃⁻が直接リンゲル液に配合されています。

代謝する必要はないので、速やかにアシドーシス

が改善されます。

重炭酸リンゲル液は、最近できたもので

科学を駆使しているからか、高価です。

なので重炭酸リンゲル液でずーっと管理することは

あんまりないです。

私は1度ぐらいしか見たことがない・・・

術直後とかに投与したまま帰室することが

わりとよくあります。 

術直後はアシドーシスになっていることが

多いので、重炭酸リンゲル液がつながっている

ときは私は、医師に指示を仰いだうえで

重炭酸リンゲルを全部投与してから

次のメインに更新するようにしてました。

 

◎豆知識

重炭酸リンゲル液の輸液パックって

触ったことありますか??

触ったことない方は今度機会があれば

触ってみてください!

他の輸液パックと比べてちょっと硬い

のですが、なぜかというと

普通の輸液パックだと重炭酸はCO₂になって、

輸液パックから通り抜けてしまって

輸液パック内の成分内容が変わってしまうんです。

なので成分内容が変わらないように

特殊なフィルムでバック全体を

覆っているんだって!( ..)φメモメモ

 

 

 

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各リンゲル液の特徴

ここで注意しなければならないのが

脳浮腫や腸管浮腫!

生食と比べてCa⁺やK⁺などのNa⁺以外の

+イオンが存在しているため

その分Na⁺の濃度が低くなります。

Naは水を引き込む性質があるので、

Na⁺の濃度が低いと、血管内に水を

とどめられなくなってしまい

脳浮腫や腸管浮腫を起こしやすいです。

 

【Advance☆彡】

乳酸は全身の代謝能力が低下したとき

蓄積されるものだけど

ショック状態の時に乳酸リンゲル液を

投与していいのか?と疑問がわく人

いるかもしれません。

結論から言うと、これは良いんです

細胞外液補充液を投与すると

体内の細胞外液の欠乏が改善されます。

すると、蓄積された乳酸が肝臓で

いつも通り代謝できるようになる。

そのため、細胞外液として乳酸リンゲル液を

投与したとしても

循環血液量が増量して

細胞内へ必要なエネルギーが

配られるため、結果として

症状は改善されるのです。

 

お疲れさまでした!

どうでしたか??

細胞外輸液の特徴を理解できましたか?

 

医師に言われたとおりに投与することも大事

ですが、医師が何を求めて投与しているのかが

分かれば自然と医師の求めている動きが

できるようになります!

それは、最終的に患者の為になるのです。

そしてまわりから”「できる看護師!」と思われる”

”評価される”ようになるでしょう(*^-^*)

 

では今日はこの辺で!

また続編書きます☆

 

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細胞外液補充液についてかきました!よかったら見てください!http://saccyan-kango.hatenablog.com