さちこのナース勉強blog

ナースの為の勉強blog&ママナースの日常 元ICUナースが臨床で役に立つ看護の基礎と病態をわかりやすく伝えます。ママになって経験してきたこともお伝えしていきます。

術後管理 術後出血について

こんにちは、さちこです('ω')ノ

昨日は術後の循環・水分管理について

お話ししました。

術後の水分管理はとても大事なんです。

術後に限らず水分管理は

結構大事なんですけどね!

循環に関連して

今日は術後出血についてお話しします。

術後出血は、術直後一番早期に

生じる術後合併症です。

術後出血は状況によっては

死に直結します。

必要時止血薬投与や

緊急で手術になることもあります。

術後出血の徴候を近くで

観察を主に行うのは看護師です。

最終的に判断するのは医師ですが

それまでの経過を見るのは看護師であるため

私たちの判断で患者の状態を

左右するといっても過言ではありません。

 

今回術後出血の徴候をもう一度

振り返って実践に活かせるような

内容にしています。

良かったら記事を参考にしてみてください。

 

本日の流れ

 

1 術後出血とは

手術創の出血は、通常術後3~4日

(傷害相内)でほぼ止血します

術中から引き続く術後出血で危険な時期は

術直後~48時間まで

それ以降出血が続いたとしても

少量であるため輸血や輸液で補えます。

術後出血に対しては、止血薬が投与され

ドレーンなどで排出されます。

これにより止血の経過をたどるはずですが

何らかの原因で止血がうまくいかなければ

致命的な出血を引き起こすことがあります

循環血液量が減少すると

身体はカテコールアミンを分泌させ

脈拍の増加や末梢血管の収縮によって

血圧を維持しようとします。

術後は、術中の出血や手術侵襲による

体液のサードスペース(手術による

炎症反応で血管外に血漿成分が

移動すること)への貯留によって

すでに循環血液量は減少しているため

術後出血はさらなる循環血液量減少で

危険な状態になりやすいです。

 

術後出血により血圧は低下し

それに伴い腎臓の血液量減少のため

尿量減少末梢循環不全による四肢冷感

脳血流減少による意識レベルの低下

不穏状態などの症状が出現します。

 

対応としては、循環血液量を補うため

止血を促す輸血や輸液負荷止血薬

の投与が行われます。

止血の見込みのない時、

出血が明らかに大量の時、

動脈から出血している場合などは

緊急の止血術を行うことになります。

 

 

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2 出血による随伴症状の観察 

【全身状態・意識レベル】

全身の皮膚や粘膜、爪の状態を観察し、

循環血液量の減少による粘膜乾燥

貧血による蒼白がないか確認します。

 

意識状態は徐々に低下しますが、

麻酔からの覚醒を確認した後

反応が鈍くなったり、傾眠状態が続く場合

は注意して観察する必要があります。

 

患者からの訴えとしては

貧血によるめまい・不安感

ぼーっとする感じなどがあります。

 

【ドレーンからの排液】

体内にドレーンが挿入されている場合は

各ドレーンからの排液を経時的に観察し

排液量が徐々に減少している

性状が血性⇒淡血性⇒淡々血性⇒漿液性へと

止血の過程をたどっているかを確認します。

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血性の排液が100ml以上/時2時間続けて

排出される場合は危険です。

すぐにDrコールしてください!!

 

医師からの指示の止血剤や輸血・輸液など

の指示を確実に実施し、止血に向かったことが

確認できるまでバイタルサインの測定は

15~30分ごとに行います。

 

【ドレーンが挿入されていない場合】

出血した血液は排出されず、皮下や体腔内に

血種を形成します。

そのため、創部に膨隆がないか

手で創部周辺を押さえてみて

圧痛がないか、硬いしこりが触れないか

確かめます。

 

★ドレーンが入っている場合でも

ドレーンが入っているからと安心せず

急に排液量が減少した場合は注意してください。

排液量と性状の観察とともに

ドレーンのミルキング

(ドレーン管内が詰まらないように

 チューブをしごくこと)を行い

血の塊による閉塞を防いだり

ドレーンチューブが屈曲して排液が

妨げられていないかも必ず確認しましょう。

ドレーンが入っていても排液が

出来ない環境であればそれは意味のない

ただの管です。屈曲してた、閉塞していた

では看護師が管理できていなかった

と言っているのと同じです。

必ず見るようにしてみてください。

あと時々あるのがドレーンの留置位置が

ずれているため効果的な排液が出来ていない

ことがあります。

このような時もドレーンが入っていないときの

症状が起こるのでドレーン刺入部周囲の観察は

必ず行ったほうがいいです。

 

術後ドレーンがどこに入っているか

ドレーンバックに記載すると思いますが

その記載だけを信用せずに

必ずレントゲンも確認してください

ドレーンの先端がどこにあるのかを

確認することで、効果的に排液出来そう

なのか考えることもできます。

 

( `ー´)ノ

ここからは以前書いた術後管理の内容と

少し被るところがありますが

術後出血の観点からもう一度書いています。

大事な部分ではあるので

振り返りとしてみてください!

【脈拍】

特に若年者の場合は、出血徴候の1つとして

頻脈が現れることが多いです。

100回以上/分の頻脈が持続するときは

疼痛などほかの原因がない場合は

脱水・出血を疑って観察します。

 

【血圧】

出血が続くと血圧が低下しますが、

収縮期血圧80㎜Hgを切った時には

危険です。

すぐにDrコールしてください。

体位は、下肢の血流が心臓に向かうように

両足全体の下に枕をいれ

下肢挙上するようにしてください。

これにより一時的に血圧が上昇すれば

循環血液量の減少であることを示しています。

医師に報告するときに下肢挙上のことも

一緒に報告できれば医師も

判断しやすいでしょう。

 

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ショック体位

低血圧であることが分かったら

15分ごとに血圧測定を行います。

 

【尿量】

術後はサードスペースへ血漿成分が移動し

細胞や間質に水をためこもうとするので

尿量が少なくなることが多いです。

0.5ml以下/kg/時の場合は、必要な排泄機能が

果たせていないためDrへ報告する必要があります。

 

50㎏の患者の場合は25ml以下/時

このような時は

必ず報告する必要があるということですね。

 

報告前に確認しておいたほうがいいのが

膀胱留置カテーテルの屈曲、閉塞です。

時々あります。

報告した後に「屈曲・閉塞してた!!」

では済まないので必ず確認してください。

 

【CVP】

5㎝H₂O以下では循環血液量の減少か

末梢血管の虚脱が疑われます。

0点を決めて値の推移をみる必要があります。

 

ヘマトクリット Ht】

Ht30%以下は貧血が強いと考えられます。

脱水の時は血液が濃縮されているため

Htが正常でも相対的にRBC(赤血球)が不足している

ことがあるため注意が必要です。

 

 

術後出血についていかがでしたか

結構頑張って書きました💡

術後の患者を受け持つときは

ぜひ役に立てていただけると

嬉しいです!

 

では今日はこれで

おやすみなさい(´ω`*)

 

 

※画像を使用していますが、

肖像権等に触れるようであれば

削除しますので教えてください。

 

 

https://www.instagram.com/p/CD37pHYjAG9/

術後出血についてかきましたよかったら見てください!http://saccyan-kango.hatenablog.com